「毎日きちんと歯を磨いているのに、歯医者で『歯周病が進んでいますね』と言われてしまった」——50代・60代の男性から、こんな声をよく聞きます。
実は、歯ブラシだけのケアには限界があります。カギをにぎるのが、歯と歯の「すき間」のケア。この記事では、デンタルフロスと歯間ブラシの選び方・正しい使い方を、はじめての方にも分かるように、やさしくお伝えします。

歯磨きだけでは、汚れの6割しか落ちていない
まず知っておきたいのは、歯ブラシだけでは歯の汚れを完全には落としきれないという事実です。
歯ブラシの毛先が届くのは、主に歯の表面。ところが、むし歯や歯周病の原因になる汚れ(歯垢)は、歯と歯のすき間にこそ、たまりやすいのです。歯ブラシだけのケアでは、全体の6割ほどしか落とせないとも言われています。
つまり、残りの4割——すき間の汚れを落とすために、デンタルフロスや歯間ブラシが必要になるわけです。
50代・60代こそ「歯の間ケア」が欠かせない理由
年齢を重ねると、歯の間のケアはますます大切になります。理由は主に3つです。
- 歯ぐきが下がってくる:加齢とともに歯ぐきが少しずつ下がり、歯と歯のすき間が広がりやすくなります。
- 歯周病のリスクが高まる:すき間にたまった汚れは、歯周病の大きな原因。歯を失う一番の理由は、実は虫歯ではなく歯周病です。
- 口臭の原因にもなる:すき間に残った食べかすや汚れは、口臭のもとにもなります。
「見た目の若々しさ」や「清潔感」を大切にするなら、歯の間ケアは避けて通れません。とはいえ、歯ぐきの状態には個人差がありますので、気になる症状があるときは歯科で一度みてもらうと安心です。
デンタルフロスと歯間ブラシ、どちらを使う?

「フロスと歯間ブラシ、どっちを買えばいいの?」と迷う方も多いはずです。ざっくりとした目安は次のとおりです。
- デンタルフロス:糸のタイプ。歯と歯のすき間が狭い人や、歯がぴったり接している部分に向いています。
- 歯間ブラシ:小さなブラシのタイプ。歯ぐきが下がってすき間が広がってきた人に向いています。
50代・60代は、歯ぐきが下がってすき間が広がっている方が多いため、歯間ブラシが合うケースが多いです。ただし、すき間の広さは場所によって違います。前歯はフロス、奥歯は歯間ブラシ、と使い分けるのも良い方法です。迷ったら、歯科で自分に合うタイプ・サイズを聞いてみましょう。
【筆者のひとりごと・58歳】
筆者はここ数年、毎朝晩デンタルフロスを欠かしません。きっかけは、電動歯ブラシでこれでもかというほど丁寧に磨いたあと、試しにフロスを通してみたときのこと。ごっそり汚れが取れて、「これは歯磨きだけでは絶対にダメだ」と確信したのです。特に右上の奥は、毎回必ずたくさん取れます。歯並びのせいか、食べかすがたまりやすい場所があるようです。最近は歯科で「フロスは歯磨きの前に使うといいよ」と教わり、磨く前に使うようにしました。おかげで口臭も気にならなくなり、人前でも堂々と話せています。使っていない方は、きっと歯の間に食べかすが残っているはずですよ。
デンタルフロスの正しい使い方

デンタルフロス(糸のタイプ)は、次の手順で使います。初めは鏡を見ながら、ゆっくりで大丈夫です。
- フロスを40cmほど(指先からひじくらい)に切り取ります。
- 両手の中指に軽く巻きつけ、人さし指と親指でつまんで使います。
- 歯と歯のすき間に、ゆっくり横に動かしながら入れます。パチンと勢いよく入れると歯ぐきを傷つけるので注意します。
- 歯の側面に沿わせるように、上下に数回動かして汚れをかき出します。
- 隣の歯に移るときは、フロスのきれいな部分を使います。
慣れれば、片側だけで数分で終わります。持ち手のついた「ホルダータイプ(Y字・F字)」なら、奥歯にも届きやすく、初心者でも扱いやすいのでおすすめです。
歯間ブラシの正しい使い方とサイズ選び

歯間ブラシは、サイズ選びがとても大切です。
サイズは、細いほうからSSS・SS・S・M・L……と分かれています。太すぎるものを無理に入れると、歯ぐきを傷つけてしまうので、最初は細めから試すのが安全です。すき間にすっと入り、軽く抵抗を感じるくらいがちょうど良いサイズです。
使い方はシンプルです。
- すき間に対して、まっすぐ、ゆっくり差し込みます。
- 前後に数回動かして、汚れをかき出します。
- 使い終わったら水で洗い、風通しのよい場所で乾かします。
無理に押し込まない、これが一番のコツです。合うサイズが分からないときは、歯科で選んでもらうと確実です。
やってはいけない、歯の間ケアのNG
最後に、よくある「もったいない間違い」を挙げておきます。
- 出血を怖がってやめてしまう:使い始めは血が出ることがありますが、多くは歯ぐきが炎症を起こしているサイン。続けるうちに落ち着いてくることが多いです(ただし出血が長く続く場合は歯科へ)。
- 力を入れすぎる:ゴシゴシ強くやると歯ぐきを傷めます。やさしく、が基本です。
- たまにしかやらない:週に一度では効果が出にくいもの。1日1回、続けることが大切です。
【まとめ】夜の1回でいい。歯の間ケアを習慣に
歯の間ケアと聞くと面倒に感じるかもしれませんが、まずは1日1回、夜だけでも十分です。使うタイミングは、歯磨きのあとでも前でもかまいません。近ごろは「先にフロスで汚れを落としてから磨くと、歯磨き粉の成分が歯にいきわたりやすい」と、磨く前をすすめる歯科もあります。大切なのは、順番よりも毎日続けること。フロスか歯間ブラシを1本、これを習慣にするだけで、数年後の歯の健康が大きく変わってきます。
歯の表面の磨き方から見直したい方は、正しい歯の磨き方の記事もあわせてどうぞ。また、歯周病が気になる方は、歯周病予防に使える歯磨き粉を選ぶと、毎日のケアがさらに心強くなります。効率よくケアしたい方には、電動歯ブラシという選択肢や、自分に合った歯ブラシの選び方も参考になりますよ。
👉さあ、始めましょう。50代・60代でも清潔感あふれるおじさんへ向かって!
