【書評】DIE WITH ZERO|お金を貯めすぎて人生を終えないために今できること

資産管理

老後資金を心配して、できるだけ節約し、できるだけ長く働き、少しでも多くの資産を残す──。これまでの私たちは、「貯金=安心」と信じて生きてきたように思います。ですが、ビル・パーキンス著『DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)』を読んで、その価値観が揺らぎました。

この本は、単なる資産運用の本ではありません。「お金をどう使えば、人生が本当に充実するのか?」という問いを突きつけてくれる一冊です。今回はこの本を読んで私自身が考えたことや、感じたことをまとめてみたいと思います。

人生の目的は「思い出を作ること」

最も心に残った言葉のひとつは、「人生でしなければならない一番大切な仕事は、思い出作りです」というフレーズです。

私たちはつい、「もっと稼がなきゃ」「老後が心配だから」と、お金を貯めることばかりに目を向けがちです。でも、いくらお金があっても、歳をとって体が動かなくなった時、若い頃にしかできない経験はもうできません。

“記憶の配当”という考え方も印象的でした。これは、経験から得た思い出は時間が経つほどに価値が増す、というもの。高級なバッグや車は時間とともに飽きていきますが、旅先での出来事や家族との時間は、思い出として心に残り続けます。つまり「経験への投資」こそが、人生の満足度を高めてくれるのだと実感しました。

今を生きることの大切さ

私はこれまで、「老後のために」とコツコツ貯金をしてきました。もちろん、将来への備えは必要です。ただし、老後が必ずやってくるとは限らないし、やってきたとしても、自分が元気に動ける年数は限られています。

例えば、「やりたいことがあるけど、今は我慢して老後にやろう」と思っていたとして、その老後に体力や気力がなかったら? そう考えると、「今を楽しむ」「今、自分のためにお金を使う」ことの大切さに気づかされます。

残りの時間を意識することで、お金の価値観が変わった

私はこの本を読んだあと、「MyTimeLeft(マイタイムレフト)」というアプリをスマホに入れました。これは、寿命計算機と呼ばれるもので、自分の寿命の残り日数や時間をカウントダウンしてくれるツールです。

実際に画面を見てみると、残された時間の少なさに驚かされます。たとえば「あと●●日しかない」と表示されると、「じゃあ今日は何をしようか」「この週末、誰とどんな時間を過ごそうか」と、時間の価値がグッと高まって感じられるようになります。

お金も同じ。稼ぐことに必死になるより、「何に使えば自分の満足度が上がるか?」を考える方が、ずっと人生の質は上がると思いました。

人生の最適化とは

この本では、「人生を最適化する」という言葉もたびたび登場します。これは、お金、時間、健康といった人生の資源を、バランスよく配分することを意味しています。

人生はテレビゲームではありません。貯金額のスコアを競う必要はないのです。たくさんお金を残したとしても、それが自分の幸せにつながっていなければ、本末転倒だと感じました。

私はこの本を読んで、子どもに相続する金額をあらかじめ決め、それ以外のお金は自分の人生を楽しむために使おうと決めました。「自分のためにお金を使う」ことを後ろめたく思わなくなったのです。

健康とお金のバランス

また、老後のお金の不安として、医療費を心配する人も多いと思います。私もその一人でした。

しかし本書では、「医療費に備えることよりも、健康を維持するためにお金を使う方がよほど賢明」と書かれていました。この視点には納得です。たとえば人間ドックや健康診断に投資することで、病気を予防できれば、結果的に医療費も抑えられます。これは、お金の賢い使い方だと思います。

健康とお金のバランスを見直すことは、資産運用にも通じる大切な視点ですね。

後悔しない人生を生きるために

お金は目的ではなく、あくまでも手段です。そして、その手段を使って「どう生きるか」を意識することが、後悔しない人生につながるのだと思います。

本書のタイトルでもある「DIE WITH ZERO」は、死ぬときに資産をゼロにするという極端な考え方にも見えますが、「思い残すことなく使い切る」「人生を出し切る」という前向きなメッセージでもあると感じました。

もちろん現実には、ゼロで死ぬのは難しいかもしれません。でも「どうせ使わないお金のために働きすぎていないか?」という問いかけは、私たちにとって大切な視点だと思います。

まとめ:お金ではなく、経験を貯める人生へ

この本を読んで、「お金を増やす人生」から「経験を増やす人生」へ、意識を変えるきっかけをもらいました。

節約も貯金も大切ですが、そればかりを考えていると、いつか「あれもやっておけばよかった」と後悔する日が来てしまうかもしれません。

今を生きる。思い出を作る。お金を使うタイミングを意識する──それこそが、資産運用の“最終目的”なのではないかと思います。

補足:私が使っている寿命カウントアプリ「MyTimeLeft」

このアプリは、両学長(リベ大)も紹介していたものです。日々の時間を意識するのにとても役立っています。興味がある方はぜひチェックしてみてください。

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